記事監修:日本美容外科学会 専門医
品川スキンクリニック 立川院 院長 藤村 淳
初めまして。
藤村淳と申します。
with♥BEAUTY第一回目の記事は、薄着の季節になると必ずご相談の件数が増えてくる、こんなご質問の紹介から始めたいと思います。
【ある患者様からの質問】
妊娠・出産前はCカップほどあったのですが、2人の子供を出産、完全母乳で子育てし気づいた頃には見るも無惨にしぼみ、垂れてしまいました。
話題の腋禍(えきか)マッサージなどを試したり、バストアップサプリメントを飲んだり、なんとか自力でバストアップに励んでいるのですが、元の形には戻りません・・・
このままでは、女性として終わってしまうような気がして色々調べたのですが、美容整形外科の広告で“垂れた胸も元に戻せる”と書いてありましたし、かなり無惨なバストが美しくボリュームアップしている症例写真もたくさん掲載されていました。
私のようなケースは、どのような方法で元に戻すことができるのでしょうか?
- ※腋禍とは…ワキの下の凹みにある、リンパ節のことです。
- ※腋禍マッサージとは…脇のリンパマッサージのことで、脇下リンパ節をほぐし、リンパの流れを促すことでバストラインを整え、二の腕のたるみを改善する効果が期待でき、肩こりや首の痛みなどの解消にも良いと様々な情報がネットで紹介されています。腋窩リンパ節周辺はバストを支える大胸筋があり、大胸筋を刺激することによりバストアップにも効果があるということで、一時、話題にもなりました。この効果の実証については特に紹介されていないので、真偽は不明ですが、詳細はこの記事では割愛させていただきます。

授乳によるバストの変形
質問者様のように、出産後、子育てで得る喜びは大きいものですが、一方で授乳によるバストの下垂によって、女性としての自信を失ってしまうということもあるようです。実際、授乳後の豊胸を考えている方はたくさんいらっしゃるようです。
2014年にワコールと宝島社が行った調査によれば、女性のバストの悩み1位は「小さい」で、回答数は半数近くに達しています。続いて2位が「下がっている」3位は「ハリがない」となっています。
豊胸術というと手術というイメージが強くハードルが高く感じますが、「胸が小さい」というのがバストのお悩みの大半であるとしたら、「胸を大きくしたい」という要望を確実に叶えるすべである「豊胸術」は、実はとても身近な手術だと思いませんか?
美容整形による豊胸・バストアップの方法はさまざまです。今回は下垂した胸を元に戻す、小さい胸を大きくする、左右差を整える、ハリを与えることが可能なヒアルロン酸注入による方法をメインに解説します。
美容医療でのバストアップ方法

美容医療でのバストアップ
美容医療で胸を大きくする方法は大きく分けて5つの方法があり、それぞれ特性や持続期間などは手術によって異なります。
- ヒアルロン酸を注入する方法での豊胸術
- ヒアルロン酸以外のフィラー製剤(皮膚充填剤)注入による豊胸術
- 自身の脂肪を採取し、胸に移植する脂肪注入術
- インプラント(人工乳腺バッグ)挿入による豊胸術
- その他…インプラント挿入+脂肪を注入等の組み合わせ、血液をジェル化して注入するPRP豊胸(献血豊胸)など
- ※ちなみに、まれに元々バストがかなり大きくて、「下がりすぎている」「服が選べない」「大きすぎて気持ち悪いと言われた」などの相談を受けることがあります。大きすぎる胸を小さいくする手術としては、「乳房吊り上げ術」(乳房固定法)という縮小術があります。
垂れた胸も手術で治せるか?

下垂したバストも豊胸術で上向きになる
下垂の程度にもよりますが、ほとんどの場合は「豊胸術」(乳房増大術)で解決できるでしょう。
当クリニックに豊胸の相談でお越しになる女性のほとんどが、「小さい胸を大きくしたい」「授乳後に下がったバストを昔のように元に戻したい」といったお悩みを持つ方になります。
複合的なお悩みでも、一度に解決できることがほとんどです。
授乳後のバストはなぜ下がるのか?

授乳後のバストはなぜ垂れる?
妊娠中や授乳期は母乳の生成と分泌を促すホルモンが通常の数10倍分泌されるため、乳腺が発達して乳房全体が大きくなります(2カップほどアップする方もいます)。しかし、授乳が終わると乳腺は徐々に萎縮し、それに伴って胸の脂肪の量も減っていきます。脂肪がなくなり伸び切った皮膚は支えを失い、垂れやすくなるのです。
垂れた胸はどのように戻すのか?
元々の胸の大きさと、どのくらいバストアップしたいか、またご予算やお身体への負担がどの程度までなら許容範囲かなどによって、おすすめの施術方法が変わります。
例えば、「現在Bカップなのですが、Dカップになりたいです」という要望があったとします。
その方の元々の胸の直径と厚みがあったのに、出産後、長期の授乳により乳腺が萎縮し、脂肪が吸収されて垂れてしまった場合には、体積が相当量(おおよそ片胸200~300cc以上)必要となり、注入系の豊胸術だと注入量によって料金が決まるため、コストがかかってしまいます。
また、ほとんどのクリニックで注入量上限を決めており、現実的に対応が難しい可能性が高いです。

さまざまな豊胸術の種類
手術で豊胸すること(ジェルバッグなどのインプラントによる豊胸術)に抵抗が無い方であれば、人口乳腺バッグによる豊胸術のほうが、安価でより大きく高さのあるバストを整形できますし、ヒアルロン酸や脂肪注入法(ご自身の身体の不要な箇所の脂肪をバストに移植する方法)などによくある、次第に身体に吸収されてなくなってしまったり、しこりなどができてしまうというリスクもありません。
しかし、最近は「家族にばれずに胸を大きくしたい」「ナチュラルな手触りにしたい」「左右差を整えたい」「バストトップにハリがほしい」などの望みを叶えるため、ヒアルロン酸などを使用した注入系の豊胸術の人気が高まっています。

ヒアルロン酸注入によるバストアップが人気
<ヒアルロン酸による豊胸が人気の4つの理由>
- ヒアルロン酸の注射なので負担が最小限ですむ(美容整形の豊胸術のなかで比較した場合)
- 注入口が微小なので、治療痕がほとんど目立たない
- 他人にばれにくい自然な仕上がりが期待できる
- 「左右差を整えたい」「部分的にハリがほしい」などに微調整が可能
以下のように、注入系の豊胸術は目的に合わせてデザインが比較的自由にできるので、様々なお悩みに対応できるのが特徴です。
ヒアルロン酸による豊胸術を受けるまえに知っておくべきこと
このように、非常にお手軽でどんなケースにも対応できるように見えるヒアルロン酸ですが、前途でも少し触れたように、実は事前にクリアにしておかなければならないデメリットやリスクがいくつかあります。
- ヒアルロン酸は次第に吸収されてしまう(持続効果は約1~2年)
- 注入量に限界がある(だいたい片方100cc前後=1~2カップ程度)
- 手術後、なじむまにでは若干手触りが固くなる
- しこりができる可能性がある(仮性皮膜が形成される可能性)
バストアップ用のヒアルロン酸は、顔で使用するヒアルロン酸より粒子が大きい物を使用しているため、持続効果は約1〜2年程度となります。(ヒアルロン酸の生体吸収速度には個人差があります)
1~2カップ程度のバストアップが可能ですが、例えばAカップの方がDカップになりたいというような2〜3カップサイズアップをご希望の場合は、ヒアルロン酸の注入量に限界があるため、他の方法をおすすめしています。しかし、上記のデメリット・リスクを充分理解した上で、ヒアルロン酸注入による豊胸の条件にぴったり合う方には、夢のような施術ではないでしょうか。
実際の患者様の症例をご紹介します。この方は若干下垂と左右差がありましたので、バストが上向きになるように意識しながら左右差を整えました。

【BEFORE】

【AFTER】
ヒアルロン酸の注入口は、胸の下にあるポチッとした部分です。
これは直後のお写真なので、赤く見えていると思いますが、次第に色味がなくなり注入口も消えて行きますので、傷痕はほとんどわからなくなります。
胸は女性らしさの象徴のひとつですね。豊かなボリューム、ハリがあり、体型のバランスに合った大きさであることが大切です。必ず肩幅など上半身との全体的なバランスを見て、きれいに仕上がる量を予測して注入していきます。
豊胸術を受けた方からは「自分に自信が持てるようになった」「服選びが楽しくなった」「毎日が楽しい」などのコメントをいただいています。理想のバストになることによって女性としての自信を取り戻し、日々を楽しく過ごしていらっしゃる姿を見ていると、私もうれしくなります。

バストに自信が持てると毎日が楽しい!
また、最近では、ヒアルロン酸に似たタイプの注入剤「アクアリフト(アクアフィリングなども同種の製品ですが厳密には違う)」も注目されています。その理由として、「注射で手軽にできる」「傷口が小さい」というヒアルロン酸と同様の特徴に加え、「手触りが本当に柔らかい」「持続効果が4~5年と長い」というより進化したメリットがあることが挙げられます。
もちろん、身体に異物を入れることには変わりませんから、メリット・デメリットをしっかり理解し納得したうえでお受けになるのが良いと思います。
他の乳房増大術も今後解説して行く予定ですので、お楽しみに…!
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