美容ライター: Myu

腸内環境を整えると、どんな良いことがあるの??
こんにちは、Myuです。
スーパーのヨーグルトコーナーに行ったり、ドラッグストアのサプリメントコーナーに行くと、“腸内環境を整える”と言う言葉を良く聞くと思います。
なんとなく、『きっとお腹に良いんだな』とか『お通じが良くなるのかな?』なんてことは分かりますが、実際何がどう良いのか、『そもそも腸内環境って何?!』と言う方も多いのではないでしょうか。
今回は腸内環境とは何か、そしてその改善方法についてお話しします。
私達の大腸の長さは約1.5 m腸内細菌だけで約1.5 kg!?

なんと腸内細菌の重さだけで1.5㎏!!
腸には、食物として取り込んだ食べ物から栄養を吸収する役割をしている小腸と、食べ物の残りかすから体に必要な水分や小腸で吸収されなかった栄養分、塩類などを吸収し、その他必要無い物を便と言う形で排出することを主な役割としている大腸があります。
小腸の長さは約6~7m、大腸の長さは約1.5m、その表面には細菌がびっしりと住みついて私達と共存しています。
そこには数100~1000種以上の細菌が100兆個以上住んでおり、重さにすると約1.5kgにもなります。
体の中に細菌?!と聞くと、それだけでなんだか病気になりそうで気持ち悪いと言う人もいると思います。
また、細菌がいなくなればその分痩せられるのでは…と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
生まれたときから菌とともに

生まれたときからヒトは菌と共生しています。
でも実は私達と細菌とは切っても切れない関係。
細菌は私たちの皮膚や消化管、呼吸器系、口腔、鼻腔などに常在菌と言う形で存在し、外部から体内に侵入しようとする病原菌を住み着かないようにしたり、免疫系を刺激して、病気に対する抵抗力を高めたりしてくれます。
赤ちゃんが母親の胎内にいる間は無菌状態に保たれているため、胎児には細菌が寄生していません。
胎児が産道を通った時に初めて細菌の寄生が始まるのです。
その後、母乳を飲んだり離乳食を食べたり、色々なものに触れることで自然と体内に細菌を取り込んでいきます。
私達の腸の中にいるさまざまな菌

善玉菌20%・悪玉10%・日和見菌70%がベストバランス!
それでは、大腸のお話に戻ります。
一般的に“腸内環境”と言うのは、主に大腸内の環境のことを指し、そこに寄生する腸内細菌が作る環境のことを言います。腸内には沢山の菌が住んでいますが、それらは主に
- 善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)
- 悪玉菌(ウェルシュ菌、大腸菌(有毒性)など)
- 日和見菌(腸内環境によって良い働きをしたり、悪い働きをしたりが変わる菌。連鎖球菌、バクテロイデス、大腸菌(無毒性)など)
の3種類に分けることができ、そのバランスがそれぞれ善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%である状態が“腸内のバランスが良い”ということになります。
この状態は、悪玉菌の増殖が抑えられ、日和見菌も悪さをしない状態です。
因みに“乳酸菌”は日常良く聞く言葉ですが、そういう名前の特定の菌は存在せず、ブドウ糖から乳酸を作ることができる菌の総称として使われています。
腸内細菌はバランスを崩すと時に悪さをする

腸内細菌は、悪玉菌が増えるとバランスが崩れる。
善玉菌が悪玉菌や日和見菌より優位に働いている間は、腸内細菌が私たちのカラダにプラスの方向に働いていますが、生活習慣の変化、加齢、ストレス、抗生物質・免疫抑制剤・ステロイドホルモン剤の投与、放射線治療などでそのバランスが崩れることによって悪玉菌が過剰に増殖したり、日和見菌が悪い働きをするようになると、腸内腐敗が進んでアンモニア・硫化水素・アミンなどが大量に発生したり、発がん物質や毒素が産生されてしまいます。
それらが体内に吸収されることにより他の臓器にも影響を与え、栄養の吸収、薬物の効果、生理機能、発がん、免疫、外来病原菌及び腸内細菌による感染などに影響が現れ、老化や肥満、糖尿病や自閉症など様々な病気の原因になります。
腸内環境の悪化が招く、様々な健康への影響

腸内に発生した毒素が、様々な健康被害をもたらすことも。
たとえば便秘の時、腸内では悪玉菌が繁殖し有害物質が溜まっていますが、便秘がひどくなると有害物質は大腸から血管を通して吸収されていき、やがて全身に広まってしまいます。
そうなると、血液中の免疫細胞の働きが悪くなり免疫力が低下、アトピーや花粉症、アレルギー性鼻炎などを引き起こします。
また、腸が詰まっている状態ですので、本来の働きができず代謝機能が落ち、肌荒れや乾燥肌、ニキビや黒ずみ、くすみなどの原因にもなるのです。
さらには代謝機能が落ちることで太りやすい体質になったり、口臭や体臭の原因になったりしてしまいます。
腸内細菌は健康維持のために重要な役割をしてる
腸内細菌は種類が多いため、それらが産生する酵素の種類は肝臓で作られる酵素の種類よりも多く、食べ物の消化や腸内に分泌される生体成分の変換に利用されます。
また、ビタミンやタンパク質を合成し、消化吸収の補助的役割を行います。
そして腸内細菌が作る代謝産物は、腸内で活用されるだけでなく、腸管から吸収されて血流にのり、腸管内以外の場所でも体の機能維持の為に使われます。
更に、先ほども述べましたが、外部からの病原菌の感染を阻止したり、免疫機能を上げて抵抗力を高めたりしています。これらの様々な機能により、腸内細菌、特に善玉菌は私たちの健康維持に一役買ってくれているわけです。
腸内環境が良いと、何がちがうの?

赤ちゃんの腸内は95%善玉菌!
腸内環境が良いと実際にはどんな良いことがあるのでしょうか?
生まれたばかりで母乳が主食の乳幼児は、腸内細菌の95%が善玉菌と言われていますが、赤ちゃんのお肌はすべすべでとっても綺麗ですね。
成長するにつれて、お肉やファーストフード、インスタント食品を食べるようになり、それを主食とする悪玉菌も増えて行きます。
お肌の健康維持やホルモンバランスを整えるのに必要な栄養が「ビタミンB群」なのですが、このビタミンは体内で作ることができず、多くを腸内で善玉菌により合成することで補っています。
また、お肌をつくる栄養素と言われている「タンパク質・ビタミンC・ビタミンA」などの吸収を良くするのも善玉菌です。
以上のことより、善玉菌を増やし腸内環境を整えると、腸内年齢が若い状態に保たれ“生まれたばかりの赤ちゃんのようなすべすべ肌”の状態に近づくのです。
そのうえ、代謝機能が上がるため太りにくくなりスタイルも美しく整い、免疫機能や肝機能も正常になるなど、美容だけでなく健康にも良いことばかりです。
腸に良い働きをする善玉菌を増やすには??
では、腸内環境を良い状態に保つ、すなわち悪玉菌を増やさず、善玉菌を保つようにするにはどうすれば良いでしょうか。
1.高タンパク、高脂肪の食品を多くとりすぎない

現代人の食生活は、腸内環境に良くない。
悪玉菌は、胃で消化しきれなかった肉などをエサにして増え、臭いオナラの原因となるガスを発生させたり、有害物質を産生します。
悪玉菌を増やさないためには、肉中心の偏った食生活は控えましょう。
2.善玉菌を増やす

乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維、水分を多くとることが大切。
善玉菌を増やすには、私達に有用な善玉菌を摂取し生きたまま腸に届ける、プロバイオティクスという方法と、腸内にもともと存在する善玉菌を増やすプレバイオティクスという方法があります。
プロバイオティクスとして摂取する細菌には胃酸や胆汁酸に強く、生きたまま腸に届き、増殖できる種類の乳酸菌やビフィズス菌が用いられます。
市販されているヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれていますね。
また、プレオバイオティクスとは、善玉菌のエサとなるものを積極的に摂取することを言います。
胃で分解・消化されないような食物繊維や、オリゴ糖などはその代表的なものです。
いずれの場合も、特定保健用食品(トクホ)として販売されているものは、厳しい検査を通り抜けてきているので、善玉菌を増やすには有用と言えます。
3.ストレスをためない

ストレスは、腸の働きを悪くします。
普段は必要に応じて交互に働いている交感神経・副交感神経の働きがストレスにより乱れると、胃酸の分泌が上手くいかず、食べ物を全て消化することができずに大腸で悪玉菌のエサとなってしまいます。
また、腸の動きが悪くなって便秘になると、増殖した悪玉菌が産生した腐敗産物や毒素が大腸に長く留まってしまい、それらの物質が体内に吸収されやすくなってしまいます。
おわりに
いかがでしたか?
腸内環境が様々な美容や健康に関係しているのがおわかりいただけたでしょうか?
忙しい時にストレスをためないようにすると言うのは難しいかもしれませんが、5分間でもほっとできるひと時を持つように心掛けることも必要ですね。

腸内環境を意識して、健康と美容どちらもベストコンディションに!
腸内環境を整えるということは、アンチエイジング・美肌効果もあり、是非実践したいところですが、頑張って善玉菌を増やさなきゃ!と突然色々頑張っても逆にストレスがたまってしまいます。
まずは出来るところから少しずつ実践していきたいですね。
【参考文献】
シリーズ腸内細菌叢1 腸内細菌叢の基礎 モダンメディア 60巻10号2014、307-311
常在菌の働き、役割 日サ会誌 2002,22(1), 3-12
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